ブライアン・ウィルソンと愛娘の天使の歌声

ブライアン・ウィルソンの愛娘、カーニーとウェンディ・ウィルソンのユニット、ザ・ウィルソンズThe Wilsonsの1997年にリリースされたアルバム「The Wilsons」。キャロル・キングによるキャッチ―な”Monday Without You”、ブライアンによる”‘Til I Die”(ビーチ・ボーイズの1971年のアルバム「Surf’s up」収録)など聴きどころの多いアルバムですが、なんといっても12曲目の最後に収録された”Everything I Need”が、それまでの11つの曲を吹っ飛ばす勢いで、どこまでも秀逸な名曲です。
静かに語りかけるような姉妹のボーカルに続いて訪れる、一転、怒涛のようなサビ。ハル・ブレインの叩く力強いタムのフィルインに続いて、ブライアンの枯れたヴォイスが降臨。あたかも天使が舞い降りたよう。一気にこの曲のすべてを持ち去ってしまうかのようなこの説得力は、いったいどこからくるのでしょうか。クレジットを確認すると、永遠の愛をテーマにした作詞は1965年のペット・サウンズ制作以来の盟友であるトニー・アッシャー、そして作曲はブライアン自身。もうこの先、彼の新曲を聴くことが叶わないことが、とても寂しいですね。
